木村拓哉さんが主演して1997年4～6月に放送されたフジテレビ系列のドラマ『ギフト』
は記憶喪失になってしまった主人公の青年早坂由紀夫の葛藤を描く社会派のサスペンス
で大ヒットしました。『ロン毛のキムタクが衝撃的にカッコ良くてムリつらいっ!!』と
大反響を呼んで社会現象にまでなった伝説のドラマが封印されてた理由を紹介します。
ギフトの地上波での再放送が無理になった理由
1997年当時は恋愛模様を描く、いわゆるトレンディドラマが全盛だった時代でしたが
『ギフト』は木村拓哉さんが届け屋の仕事に奮闘していて高い視聴率を記録しました。
| ドラマ『ギフト』 | 放送された日時（21時～） | 平均の視聴率 |
|---|---|---|
| 1話 | 1997年4月16日（水） | 23.0％ |
| 2話 | 1997年4月23日（水） | 18.7％ |
| 3話 | 1997年4月30日（水） | 15.5％ |
| 4話 | 1997年5月7日（水） | 17.8％ |
| 5話 | 1997年5月14日（水） | 16.6％ |
| 6話 | 1997年5月21日（水） | 15.9％ |
| 7話 | 1997年5月28日（水） | 15.6％ |
| 8話 | 1997年6月4日（水） | 16.9％ |
| 9話 | 1997年6月11日（水） | 19.0％ |
| 10話 | 1997年6月18日（金） | 16.5％ |
| 11話（最終回） | 1997年6月25日（金） | 20.9％ |
全体の平均の視聴率は18.2％ （株式会社ビデオリサーチによる調査）
ドラマの放送が終わり翌年の1998年1月28日（水）に事件が起きます。栃木県黒磯市
にある公立中学校に通ってた当時13歳の少年が英語担当の女性教師から授業態度が悪い
ことを何度も注意されて逆ギレをして廊下で刺殺しました。少年の友人がその際に同席
してましたが、少年は異常に興奮して攻撃性が高まってました。経緯の面ではその先生
は何も悪くはないのですが、少年は逆上して持っていたバタフライナイフで最初に教師
の腹部を刺し、続いて背中や胸など7ヶ所をメッタ刺しにしました。そして内臓が破裂
する程の強さで女性の腹部を執拗に蹴り続けました。それを見ていた友人が隣りの教室
にかけ込んで男性の先生に助けを求め、その教師によって少年は取り押さえられ、通報
を受けてかけつけた警察によって逮捕されました。女性の教師はすぐに救急搬送をされ
ましたが、出血多量で1時間後に死亡が確認されました。ここからがドラマと関係する
部分ですが、少年はその後の取り調べで『ギフトでキムタクが器用にバタフライナイフ
を振り回してるのを見てカッコ良いと思って持ち歩くようになった』と供述しました。
凶器となったバタフライナイフは事件の数週間前に黒磯市内で少年が自分で購入をした
モノでした。それを受けてマスコミ各社は『ギフトに影響されて少年が人を殺した』と
報道しました。それによって1998年1月に再放送をしていた東海テレビがすぐに放送を
中止し、その他にも再放送を予定していた仙台放送とかが番組の予定の変更を余儀なく
されました。この事件は後に栃木女性教師刺殺事件（黒磯教師刺殺事件）と名づけられ
1999年4月から2004年9月まで民事訴訟で損害賠償請求をされて係争が続いてました。
思いっきりハッキリとドラマの名前がメディアで出されてしまったので、フジテレビの
制作担当者としては続編や映画化を含めて再放送すら御法度という扱いにせざるを得ま
せんでした。また愛知県小牧市で1997年10月に当時14歳だった日系ブラジル人の少年
が日本人の少年グループに暴行されて死亡した事件が起きました。その後容疑者で当時
19歳だった少年が名古屋拘置所から『ギフト』の再放送を中止するように訴える手紙を
フジテレビに送ってたこともありました。さらに1998年2月2日（月）に東京都江東区
亀戸7丁目の路上で当時15歳の区立中学校3年生の少年が自転車でパトロール中だった
警察官に対して右の胸をバタフライナイフでいきなり切りつけてけん銃を奪おうとした
事件が発生しました。巡査部長だったその警察官は耐刃防護衣を着用していた為に無事
でしたが、少年ともみ合った時に頭部を7針縫う怪我をしました。少年はその場で取り
押さえられて強盗殺人未遂と銃刀法違反の容疑で現行犯逮捕されました。『1月中旬頃
から短銃をどうしても撃ちたいと思うようになり、人を殺してでも銃を奪いたかった』
と少年はその後の取り調べで供述しました。警視庁は都内にあるがん具店などに向けて
未成年者へのナイフ類の販売を自粛するように要請しました。この事件では『ギフト』
の名前は報道されませんでしたが、時系列的に栃木での事件の直後だった為に社会的に
インパクトが非常に強くて『ギフト』はさらに消去される展開になってしまいました。
以上の一連の事件で『キレる』という言葉が新たに生まれ、少年による短絡的な犯罪が
社会問題化して大きく取り沙汰されるようになりました。そして『ギフト』は『青少年
に対して悪影響を及ぼす暴力場面を含む作品』や『不良少年もののドラマ』と言われる
ようになっていきました。『ギフト』は1997年11月28日（金）にVHSのビデオテープ
が発売されてましたが、事件の影響で全巻が販売禁止となり、長い間再放送すら不可能
でした。しかし2019年1月9日（水）にBlu-rayとDVDで商品化すると発表されました。
地上波のテレビは誰もが手軽に見れてしまい、世の中への影響力がとても大きく、その
為に放送をする作品に関してはすごくデリケートなフィルターがかかってしまいます。
脚本と演出の内容が素晴らしく、もしそのまま巷で流通を続けられてたら後世まで語り
継がれる木村拓哉さんの代表作の一つに間違いなくなってた作品で残念でなりません。
『ギフト』の本来のテーマは『過去との決別と再生』で、不良少年だった早坂由紀夫が
過去を捨て去って新たに生まれ変わろうと努力する様子を描く物語でした。それなのに
『社会悪を生み出した諸悪の根源である問題作』などと一方的に決めつけて見なされて
長く闇に葬られてきた事実は本当に遺憾です。名誉を挽回できるようにと願ってます。
『ギフト』は忌まわしい3つの事件の為に20年以上も市場から退場させられてましたが
フジテレビの方達のご尽力でなんとか復活でき、昔からのファンの方達に売れてます。
ギフトのフル動画を全て無料で視聴できる方法
ドラマの見逃し配信の動画は一般に地上波とかでの放送後に最新話だけ1週間のみTVer
などで配信されて無料で見れます。『ギフト』は昔の作品なので見逃し配信のサービス
はありません。また動画配信サービスの他に宅配レンタルのサービスで観れないか？を
調査しましたが、残念ながらTSUTAYA DISCASとかで扱われてませんでした。つまり
『ギフト』の11話分のフル動画を全て無料で視聴して楽しむ方法は2020年10月現在も
存在せず、全話分のドラマを楽しむにはBlu-rayかDVDの商品をご覧頂くしかないです。
まとめ
1997年4～6月にフジテレビ系列で放送された木村拓哉さん主演のドラマ『ギフト』が
何故再放送すら許されないで地上波で突然に姿を消してしまったのか？の理由をお伝え
してきました。少年による3つの凶悪事件が相次いで起こった為に『ギフト』は世間で
厳しく批判を受けて、レッテルを貼られて20年以上も封印されたままになってました。
さらに2020年になっても動画配信サービスや宅配レンタルサービスでの視聴が困難で、
当サイトの編集部としては記事化して取り上げるかどうか？を当初は迷いました。でも
作品自体や、出演者とスタッフの方達には何の罪もありませんので『ギフト』を後世に
なんとか語り継いでいく為に微力ではありますが、協力させて頂きたいと考えました。
